歯ぎしり・食いしばりの影響について解説
こんにちは、大阪市中央区谷町の歯科医院 ちかファミリー歯科+kids です。
いつも、 ちかファミリー歯科+kids のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回は歯ぎしり・食いしばりの影響についてお話しさせていただきます。
「朝起きたらいつも顎が疲れている」「なぜか歯の詰め物や被せ物が取れやすい…」などといったお悩みはありませんか?もしかするとその症状は、歯ぎしり・食いしばりが原因かもしれません。
歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに行われることが多く、多くの人がその影響に気づかずに過ごしています。これらの習慣は、歯や顎に深刻なダメージを与える可能性があるため、早期の対策が重要です。本ブログでは、歯ぎしり・食いしばりの影響とその対策について詳しく解説します。
歯ぎしり・食いしばりとは
歯ぎしり(ブラキシズム)は、睡眠中に無意識に歯を擦り合わせる行為です。一方、食いしばりは、ストレスや緊張などにより、日中に強く歯を噛み締める行為を指します。この「歯ぎしり」や「食いしばり」は、上と下の歯をギリギリと強くこすり合わせるような動きや、ぎゅっと強くかみしめる悪習癖のことを指します。この癖は無意識に行われているため、就寝中に本人が気づかずしていることが多く、長期間続くとさまざまな問題を引き起こします。
歯ぎしり・食いしばりの原因
ストレス
歯ぎしりの主な原因は強いストレスによるものと考えられています。日常生活でのさまざまな変化がストレスの原因となり、寝ている間に無意識に歯ぎしりや食いしばりをすることで、ストレスや不安を解消しているとされています。しかし、歯や顎関節に悪影響を及ぼすような歯ぎしりは、改善が必要です。
歯並び
歯並びが悪いと上下の歯のかみ合わせが悪くなり、歯ぎしりが起こりやすくなります。特に、一部の歯が強く当たっていたり、歯の詰め物や被せ物の高さが合っていなかったりすると、かみ合わせが不安定になり、歯ぎしりの原因となることがあります。
枕が合わない
高い枕や合わない枕を使用していると、歯ぎしりが起こりやすくなると言われています。高い枕を使うと首に角度がつき、うつむいた状態になりやすいため、奥歯をかみしめる姿勢になりやすくなります。寝るときに適切な姿勢を保てる枕を選ぶことが重要です。また、睡眠が浅いことも歯ぎしりの一因とされています。質の高い睡眠を確保することが、歯の健康を保つためにも重要です。
集中している時間が長い
何かに集中しているとき、人は無意識のうちに歯を食いしばることがあります。これは集中力を高め、力を発揮しようとするためです。運動や肉体労働の際だけでなく、その他の作業中も無意識に歯を食いしばっていることがあります。
歯ぎしり・食いしばりによる主な影響
歯の摩耗
歯ぎしりや食いしばりにより、歯のエナメル質がすり減り、歯が短くなったり形が変わったりします。
歯の破損
強い力が歯に加わることで、歯が割れたり欠けたりするリスクが高まります。特に詰め物やクラウンがある場合、その部分が損傷することがあります。
顎関節症
顎関節に過度な負荷がかかることで、顎関節症(TMD)を引き起こす可能性があります。症状としては、顎の痛みやこわばり、耳鳴り、頭痛などがあります。
歯髄炎
歯髄炎は、歯の内部にある歯髄(しずい)が炎症を起こす病気です。歯髄には神経や血管が含まれており、痛みや腫れを引き起こします。歯髄炎の主な原因は、深い虫歯や外傷、歯の割れなどです。適切な治療を行わないと、感染が広がり、歯を失う可能性もあります。食いしばりや歯ぎしりの強い力は、歯の内部にある歯髄に過度な圧力をかけ、炎症を引き起こすことがあります。これにより、歯の痛みや腫れが生じます。
歯肉の損傷
歯ぎしりや食いしばりによって、歯肉が引き締まり、歯周ポケットが深くなることで歯周病が進行することがあります。
頭痛
頭の筋肉が緊張することで、頭痛が引き起こされることがあります。特にこめかみや額の部分に痛みを感じることが多いです。
顔の筋肉痛
食いしばりによる顔の筋肉の過剰使用が、筋肉痛や疲労感を引き起こします。
耳の痛み
顎関節の問題が耳に放散し、耳の痛みや耳鳴りを引き起こすことがあります。
睡眠障害
歯ぎしりや食いしばりが原因で、良質な睡眠が妨げられ、日中の疲労感や集中力の低下を招くことがあります。
歯の感受性
歯の摩耗や破損により、冷たいものや熱いものに対して歯が敏感になり、痛みを感じやすくなります。
歯ぎしり・食いしばりの種類
グラインディング(歯ぎしり)
グラインディングは、上下の歯を強くかみしめて左右にギリギリとこすり合わせるタイプの歯ぎしりです。このタイプは、歯ぎしりの音が家族にも聞こえるため、気づかれやすいです。「歯ぎしり」というと、多くの人がこのタイプを思い浮かべます。
グラインディングは、歯を左右に動かすため、歯がすり減りやすく、ひどい場合にはエナメル質が削れ、象牙質が露出することもあります。また、歯の詰め物が取れたり、歯が割れたりするリスクも高く、歯を支える骨にもダメージを与える可能性があります。
クレンチング(かみしめ)
クレンチングは、上下の歯を強くかみしめたり、食いしばったりするタイプのブラキシズムです。夜間に起こることが多いですが、日中でも発生することがあります。このタイプは音が出ないため、本人も周囲も気づきにくいのが特徴です。
クレンチングが続くと、歯や歯茎、筋肉に負担がかかり、咬筋や側頭筋に痛みが生じることがあります。また、骨隆起(骨が膨らんでこぶ状になる現象)が見られることもあります。歯が割れやすいのもこのタイプの特徴です。
タッピング(歯をカチカチする)
タッピングは、上下の歯を「カチカチ」と音を立てて鳴らすタイプのブラキシズムです。グラインディングやクレンチングと比べると、歯や顎にかかるダメージは比較的小さいです。
タッピングは、夜間だけでなく日中にも癖として行われることがあります。カチカチと音がするため、自分でも気づきやすいのが特徴です。
歯ぎしり・食いしばりの対策と治療法
1.マウスピースの使用について
マウスピースは、ナイトガードとも呼ばれており、寝ているときに歯に装着する装置です。歯に装着することでかみ合わせが高くなり、歯ぎしりや食いしばりから歯や顎の関節を守ります。この方法が一般的な治療法として広く用いられています。
マウスピースのメリット
- 力の分散: 歯ぎしりや食いしばりによってかかる力を分散し、歯や顎への負担を軽減します。
- 歯の保護: 歯が削れるのを防ぎ、歯の摩耗や破損を防止します。
- 顎の関節保護: 顎関節にかかる負担を減らし、顎関節症の予防に役立ちます。
- かみ合わせの調整: 不具合のあるかみ合わせを調整し、正しい位置に誘導する効果があります。
マウスピースを装着して寝ることで、歯にかかる負担が分散され、歯が折れたり欠けたりするのを防ぐことができます。また、正しいかみ合わせを保つことで、顎の関節にかかる負担も減らせます。
マウスピースのデメリット
- 違和感: 装着時に違和感を感じることがあります。
- 衛生管理: 正しく保管しないと不衛生になる可能性があります。
- 顎の痛みやだるさ: 朝起きたときに顎のあたりに痛みやだるさを感じることがあります。
マウスピースは歯に装着して寝るため、最初は違和感を覚えるかもしれません。また、かみ合わせる位置が変わることで、朝起きたときに顎の痛みやだるさを感じることがあります。
さらに、マウスピースの保管方法には注意が必要です。口の中に入れるものなので、正しく保管しないと雑菌が繁殖する恐れがあります。煮沸消毒はプラスチック製のマウスピースを変形させる可能性があるため、避けてください。
2.ストレス管理
歯ぎしりや食いしばりを治療するうえで、ストレスのコントロールは非常に重要です。これらの症状の主な原因は「ストレス」によるものであり、ストレスを取り除くことが必要です。しかし、現実にはストレスを完全に除去することは難しいでしょう。
ストレス発散方法
ストレスの発散方法は人それぞれ異なりますが、以下の方法を取り入れることで、ストレスのコントロールが可能となり、歯ぎしりや食いしばりの症状を軽減することができます。
- 運動: 定期的な運動は、ストレスを軽減し、気分をリフレッシュさせる効果があります。ジョギングやヨガ、ストレッチなど、自分に合った運動を見つけることが大切です。
- リラクゼーション: 瞑想や深呼吸、アロマセラピーなどのリラクゼーション法を取り入れることで、心身の緊張をほぐし、リラックスすることができます。
- 趣味を楽しむ: 趣味に没頭することで、ストレスから解放され、リフレッシュする時間を持つことができます。
- 適切な睡眠: 良質な睡眠を確保することは、ストレス管理において非常に重要です。寝る前のリラックスルーチンを作ることで、深い睡眠を促進します。
3. 咬み合わせの調整
歯科医による咬み合わせの調整や治療が必要な場合があります。適切な咬み合わせを維持することで、歯や顎への負荷を軽減します。歯ぎしりや食いしばりを引き起こす原因が歯並びである場合は、矯正治療で治すことができる場合もあります。矯正治療によって歯並びが整うと、バランスよくかむことができるため、歯ぎしりや食いしばりを改善することができます。歯ぎしりや食いしばりによって、歯が割れたり欠けたりする前に、なるべく早く歯科医院に相談されることをおすすめします。またその際は、歯ぎしりや食いしばりの癖があることを、歯科医に相談しましょう。
子どもの歯ぎしりの治療
歯ぎしりは大人だけでなく、子どもにも見られる現象です。子どもの歯ぎしりは、「顎の位置を決めるため」や「永久歯が生えてくるスペースを作るため」に行われることが多いため、大人ほど歯や顎の関節に負担をかけることは少ないとされています。
しかし、強いストレスが原因で歯ぎしりをすることもあり、中学生を過ぎても歯ぎしりが続く場合は、顎関節症の原因や生えてきた永久歯に悪影響を与える可能性があるため、歯科医院での診察をおすすめします。子どもの歯ぎしりの治療も大人と同様に、夜間にマウスピースを装着し、歯や顎への負担を軽減します。
大人の歯ぎしりの治療
大人の歯ぎしりの治療には、ナイトガード(マウスピース)を使用します。大人の場合、歯や顎の関節に大きな負担をかけることが多いため、マウスピースを装着することで歯ぎしりや食いしばりによる負担を軽減できます。これにより、歯の摩耗や顎関節の問題を予防し、歯や顎の健康を保つことができます。
よくある質問
Q,舌の側面にギザギザとした歯型のようなものがついているのですが、食いしばりをしているのでしょうか?
A,食いしばりをしている場合、舌の側面に歯型のような跡がつくことがあります。また、舌がむくんでいる場合や舌が大きい方にも見られることがあります。
Q,歯ぎしり・食いしばりを治療する際、どのくらい通院すればよいですか?
A,治療期間は、患者様のお口の状態や症状の程度によって異なります。一人ひとりに合わせた治療計画を立てるため、詳細は歯科医師にご相談ください。
Q,ほっぺたの内側に白い線のようなものがあるのですが、これは何ですか?
A,これは「頬粘膜圧痕(頬粘膜の白線)」と呼ばれるもので、食いしばりや噛み締めによって無意識に頬の内側を噛んでしまうことで生じることがあります。原因は他にも考えられるため、歯科医師に診てもらうことをおすすめします。
Q,骨がコブのように盛り上がっている部分があります。これも関係がありますか?
A,骨がコブのように盛り上がっている状態は「骨隆起(こつりゅうき)」と呼ばれ、習慣的な歯ぎしりや食いしばりによって見られることがあります。
Q,治療すれば必ず治るのでしょうか?
歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに行われることが多く、完全に治すことは難しいかもしれません。ただし、適切な治療と対策を講じることで症状を緩和し、健康な状態を保つことが可能です。症状と上手に付き合いながら、ストレス管理や生活習慣の見直しを行うことが大切です。
まとめ
歯ぎしりや食いしばりは、日常生活に影響を及ぼすだけでなく、歯や顎の健康にも重大な影響を与える可能性があります。早期の対策と適切な治療を行うことで、これらの問題を未然に防ぐことができます。また、歯髄炎のリスクも考慮し、日々のケアと定期的な歯科検診を欠かさないことが重要です。歯に異常を感じたら、早めに歯科医を訪ねることをおすすめします。
あなたの健康な笑顔を守るために、定期的な歯科検診と日々のケアを忘れずに行いましょう。
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